2025年3月6日(木),文部科学省・知識集約型社会を支える人材育成事業(DP)総括シンポジウム「新しい時代の大学教育につなぐメッセージ ~DP事業が目指し,創り上げてきた成果~」を,会場の早稲田大学 早稲田キャンパス14号館とオンラインのハイブリッドで開催し,学内外の教職員・学生192名が参加しました。DPは,令和2年度・3年度に公募され,メニューⅠ「文理横断・学修の幅を広げる教育プログラム」・メニューⅡ「出る杭を引き出す教育プログラム」・メニューⅢ「インテンシブ教育プログラム」をテーマに9つの採択校が個性ある取組を推進してきました。
本事業最終年度にあたり,成果発信シリーズとして,8月には東京都市大学を会場に第一弾「未来思考型ワークショップ2024(アイデアソン)」を,12月には大正大学を会場に第二弾「教学マネジメントセミナー2024」を開催してきました。第三弾として,本事業が目指し,創り上げてきた成果を社会に広く紹介し,新しい時代の大学教育につなぐメッセージを届けることを目的に,最後の総括シンポジウムを開催しました。
はじめに,早稲田大学の須賀晃一副総長(教学統括(プロボスト/教務・研究推進・産学連携),人事総括)が開会挨拶を行い,続いて,文部科学省高等教育局大学教育・入試課の石橋晶課長が来賓挨拶を行いました。


その後,総合司会で金沢大学教学マネジメントセンター副センター長の林透教授による開催趣旨と講師紹介を経て,大学共同利用機関法人情報・システム研究機構監事/芝浦工業大学前学長の村上雅人氏が,「知識集約型社会を支える人材育成が目指すもの」と題し,大学教育の現状と課題,そして今後の展望について基調講演を行いました。知識集約型社会における大学の役割のほか,教育改革の必要性について述べられ,日本の教育改革は長期的な視点で進めるべきだと強調されていました。

続いて,各採択校の成果発表を行う分科会セッションA~Cを行いました。各採択校とテーマは以下のとおりです。
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【分科会1】早稲田大学
「プログラム参加者の実体験から問うインテンシブ教育の意義―境界を越えた学びの深化―」
【分科会2】東京都市大学
「イノベーションで未来を切り拓く:次世代リーダー育成『東京都市⼤学ひらめきPG』の挑戦」
【分科会3】千葉大学
「イシューを発見し,解決をめざすメリハリのあるターム運営―千葉大学の取り組み―」
【分科会4】金沢大学
「数字で振り返り展望する!金沢大学融合学域・先導STEAM人材育成プログラムの成果」
【分科会5】新潟大学
「知識集約型社会における新潟大学の挑戦:メジャー・マイナー制の戦略的全学展開」
【分科会6】大正大学
「学生はいかにキャリアをデザインしたか─学びの統合から未来を展望する─」
【分科会7】麻布大学
「高校-大学-大学院を『好きを力に』でつなぐ自律的修学支援体制―麻布大学出る杭―」
【分科会8】信州大学
「ライフクリエイター養成コース:学際協働力と社会実装力を兼ね備えたAI人材育成」
【分科会9】名古屋商科大学
「『ケースメソッド』と『フィールドメソッド』を組み合わせたインテンシブ教育の軌跡」
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また,休憩時間には,採択校9大学によるポスターセッションを行い,参加者同士で活発な意見交換が行われました。

後半の総括パネルディスカッションでは,東京財団政策研究所研究主幹/教育ジャーナリストの松本美奈氏によるファシリテートのもと,基調講演者の村上氏に加えて,京セラ株式会社東京事業所長/産学連携推進部責任者の大西実氏,金沢大学副学長(教育改革・企画評価担当)/教学マネジメントセンター長の尾島恭子教授,麻布大学大学教育推進機構教学IRセンター長の菊水健史教授,早稲田大学社会科学部の早田宰教授,新潟大学法学部3年次の青柳匠馬さん,東京都市大学理工学部4年次の加藤凜香さんの2名の学生を交えて,「社会を支える人材」を問うと題して,現在の教育の課題やDP事業の成果を踏まえ,これからの人材育成の在り方について鋭い問いを投げかけました。「教育が社会の価値観を変える力を持つ」ことを再確認し,今後の高等教育が果たすべき役割について意見を交わしたほか,参加者から寄せられた質問に沿って,「新しい時代の大学教育につなぐメッセージ」に関する意見交換を行いました。


最後に,金沢大学の森本章治理事(総括・大学改革・教育・情報担当)/副学長が閉会挨拶を行いました。

参加者のアンケート結果からは,「教育の質保証の重要性,グローバルスタンダードの重要性についてとても共感できた。講演内容全般にわたり,首肯できるご見解が多く,大いに勇気づけられた」「各採択校の特徴を掴むことができ,内容は似ていないが,目指す教育のゴールは同じと感じた。教員の満足ではなく学生の満足が重要と改めて実感した」「企画が素晴らしかった。他大学の事例を聞きつつ,組織的に改革をすすめている点が素晴らしいと思った」「学生のプレゼンテーションが良かった。プログラムの成果がしっかりと出ていたと思う」「このようなシンポジウムがもっと開催されることを希望する」という声が寄せられ,盛況のうちに会を終えました。

〇本シンポジウムの開催概要はこちらをご覧ください。
お問い合わせは下記までお願いします
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金沢大学 教学マネジメントセンター
山下 貴弘(特任助教),林 透(教授)
〒920-1192 石川県金沢市角間町
TEL:076-264-5986
E-mail: ku-steam(a)ml.kanazawa-u.ac.jp
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