令和5年3月14日(火)13:00~15:00にて,令和4年度「知識集約型社会を支える人材育成事業(DP)」採択校合同シンポジウムを開催しました。金沢市内のKKRホテル金沢を会場に対面参加とオンライン参加によるハイブリット開催で行い,127名の教職員・学生等の参加がありました。
冒頭,本事業の幹事校である金沢大学から森本章治理事(教育・高大院接続・大学院改革・情報担当)・副学長から開会の挨拶があった後,文部科学省高等教育局大学教育・入試課課長補佐の早川慶氏より来賓挨拶がありました。
まず,大阪大学スチューデント・ライフサイクルサポートセンター長・特任教授の川嶋太津夫氏より,「文理横断・文理融合教育の行方~中央教育審議会大学分科会大学振興部会の議論を踏まえて~」と題して基調講演がありました。高等教育政策決定のエコシステムの変化を背景に,中央教育審議会大学分科会大学振興部会に託された論点の紹介があるとともに,同部会での文理横断・文理融合教育の意義について説明がありました。最後に,あるべき「学士課程教育」として,広い視野を培う学修を基礎に深い専門性を修得する逆π型人材の育成が必要であるとともに,他者とともに多様な知を持ち寄りながら協働することの重要性の指摘がありました。
次に,千葉大学教育学部 アジア・アセアン教育研究センター長・教授の野村純氏(DP事業プログラムオフィサー)より,「知識集約型社会に求められる人材育成とは~文理融合・高大院接続の観点から~」と題して基調講演がありました。千葉大学における「先進科学センターの飛び入学の取組」を通した高大院接続を見据えた教育,「アセアン諸国と連携したツインクルプログラムの取組」を通した理系学生と文系学生が協働した科学教育教材開発と教育体験,さらには,高校生を対象とした未来価値の創出力育成を目的とした「ASCENTプログラム」の紹介がありました。高校教育の段階から大学のリソースを活かした先進科学教育を提供しつつ,学修者の才能を引き出し,多様な知の融合や新しい価値を創造する力を養う教育プログラムの要点を多数紹介いただきました。
後半では,金沢大学教学マネジメントセンター副センター長の林透教授の進行のもと,参加者を交えた質疑応答・意見交換が行われました。文系学生と理系学生が協働して学ぶことの難しさがあるが,異分野の学生同士が一つの課題に取り組み,乗り越えていく経験によって,相互の価値観を理解し合い,協働できる力を身に付けることができるとのコメントがありました。また,文理横断・文理融合教育を着実に進めていくには,大学自体が柔軟性を持つことが大事であるとの指摘がありました。高等教育政策動向と教育現場での実践事例を一緒に考えることで,今後の人材育成の本質を見つめる貴重な機会となりました。
最後に,金沢大学の片岡邦重学長補佐(教育改革・学修支援担当)・教学マネジメントセンター長より閉会の挨拶がありました。